君の味に落とされて。




「あっちの席、空いてるんで行きましょう」


「ん、あぁ」


店の端っこの席だけど、日の当たる、あたしもお気に入りの席。


二人用のその席に先輩と向かい合って座り、お母さんを待つ。


夕陽に当たった先輩の髪が窓から入る風で揺れる。


染めていないのかと思ったけど、陽にあたると茶色に見える。


前に染めてたのかな?


「なに?人の顔見て」


「あ、いや…髪が茶色だなぁって」


「前は金パだったからな。透けると茶色っぽいだろ」


「!?」


先輩が金髪だったところを想像して、不良みたいだなぁ…なんて思う。


「お前…変な想像してるだろ」


細められた目にあたふたと弁解しようとすると、丁度お母さんがケーキを持ってきてくれた。


ふぅっ、危ない。


バレたら怒られそうだもん。


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