君の味に落とされて。
「お前なぁ…」
「ごめんなさい~…。ケーキ、いくらでも食べていいので…」
ちら、と玲於先輩を見てみるとちょっと揺らいだ表情をしてた。
本当に甘いもの、好きなんだろうなぁ。
「どうしてもって言うなら、食うけど」
照れてる先輩、ちょっと可愛いです。
お店のドアを開けると、カランと音がする。
いつもはここから入らないからなんか新鮮だな。
「いらっしゃー…って純菜じゃない。なんでこっちから?…!?」
中に入るとお母さんがやってきて、あたしの背後を見て目を丸くした。
と思ったら、店の隅に連れていかれた。
「誰なのあのイケメン!?まさか彼氏!?やるじゃない純菜!」
「ちっ、違うよ!先輩!」
お母さん小声のつもりだろうけど声普通に大きいから!
「なんだー、彼氏じゃないのか。でも嬉しいわね、ケーキ持っていってあげるからあっちの席で待ってて?」
「う、うん、ありがと」
ウキウキと厨房の方に入っていくお母さんを見届けて先輩の所に戻る。