君の味に落とされて。




「美味しいですか?」


「うん、めっちゃ…」


幸せそうに食べる先輩を見て、あたしもモンブランを口にいれた。


「これ、お前のお母さんが作ってんの?」


「あ、えっとそのタルトだけはお母さんであとはほとんどお父さんですかね」


「へぇ…すげーな」


「喜んでもらえて嬉しいです。あたしはなにもしてないですけど」


「こんなにうまいケーキ食べられたのは、お前のおかげだろ」


ふわ、とケーキの甘さのせいかさっきよりも優しい笑顔。


先輩が…あたしの心臓を殺しにきてる。


「あ…えと…えへへ…。ちょっと、厨房行ってきます」


一口しか食べていないモンブランと先輩を置き去りにして、スタッフルームの扉を開けて中に飛び込んだ。


「すごい…どきどきしてる…」


どきどきするし、顔熱いし…どうしたのあたし。


うぅ…普段男子と話さないのに、先輩みたいなイケメンといるからだ…。


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