君の味に落とされて。



どうやら集まっているのは女の子達ばっかりみたい。


やっぱり俳優とか…、そんなような人が来てるのかな。

誰だかわからないけど顔見れるかな?

人だかりから少し離れたところから、背伸びをして見てみる。

…手前にある木が邪魔。


唯も背伸びをしたと思ったら、なーんだ。と声を漏らした。


「え?誰だったの?」

「玲於先輩。カッコいいとは思うけどやっぱあたしは肉食系な男子がいいしな~」

「誰それ?」

そんな知ってる前提のような口振りで話されても誰だかわからない。

首をかしげて唯を見つめると、ガッと肩を掴まれてぐらぐらと揺さぶられた。


「うぁうわぁ、なになに唯!」

「あ、あんた玲於先輩知らないとか!まじか!」

「し、知らないよ!なに?有名人?芸能人?」


うぁ、頭が揺れる…

「萩高イチのイケメンだよ!王子!ミスター萩高!」


「王子…?」


人だかりの中から見えるその王子を見ると確かにイケメンだけど、なんかすごく顔色悪いような…


「もぉ、ほんっとに純菜ってば可愛いのに男に興味ないよね」


はぁあ、とため息を吐く唯。

そんなこと言われてもなぁ…。

カッコいいとは思うけど好きとかよくわかんないし。




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