君の味に落とされて。
それよりあの人…、玲於先輩?
倒れそうだけど平気なのかな。
「ねぇ唯、玲於先輩倒れそうだけど…」
「ほんとだ。顔色悪いね。周りの女子は気づかないのかね」
「あたしちょっと行ってくる」
「え、ちょ…」
あたしは人だかりに近づいて、女の子達の黄色い声に負けないように叫んだ。
「玲於先輩!!」
その瞬間、グサッと刺さるみんなの視線。
うわぁ、すごい見られてる。
でも、なんかこの先輩が心配でほっとけないような気がした。
昔、お母さんが倒れたときになにもできなかったというトラウマのせいかもしれない。
「…なに?」
「え、あ、あぁの…」
なんにも考えてなかった!
「ほ、保健室行きましょう!」
ポカン、とする空気の中、あたしはその隙に先輩の手を引いて走った。
あたしたちが校舎に入る頃、状況を理解したのか女の子達も走ってきた。