嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚142

「どこか紫式部の達観が感じられますね」
「男のあほさ加減もな」

「出家したからといってすぐに悟りの境地にとは思われま
せんが?」

「そりゃそうじゃ。尼寺の老尼の姿は実に見苦しく紫式部は書
いている。浮舟は身を投げて供養したようなもんじゃからかな」
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