~Lion Kiss~
私と治人さんは、最初から結ばれる間柄じゃなかった。

赤い糸は、二人を結んでなんていなかったのだ。

何だかやけにスッキリした。

夕立の後の、爽やかな空と空気を思い出して、私はもう一度大きく息をつくと、來也を見上げた。

「來也……色々ごめんね。私、もう大丈夫だよ」

來也は眩しそうに眼を細めて私を見つめた。

私はそんな來也をみて大きく笑った。

「なによ、その顔!酔ってメソメソしてたと思えば、急に元気になったものだからビックリした?」

私は続けた。

「何だかさっきの映像を見て思ったよ。確かに私達は恋してたけど、死ぬまで一緒にいるような縁はなかったんだなって。悲しいけど、もうグズグズ泣くのは終わりにする」

その時カタンと音を鳴らして來也がリモコンをテーブルへ置き、一瞬それに気を取られた私を、彼は素早く引き寄せて胸に抱いた。
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