~Lion Kiss~
來也とは真逆で、実は私は嬉しかったりするんだけど。

……だって、ピンチをイケメンに救われるなんてシチュエーションはそうそうないし。

いや、不謹慎なのはわかるし怖かったけど、微妙に心が浮き足立つような。

けれど來也の顔を見ていると、そんな思いも徐々にしぼみ始めた。

声かけづらいなあ。

その時である。

「お前っ!」

「きゃあっ!」

來也のデカイ声に驚き、私は反射的に悲鳴を上げた。

「な、なにっ」

チッ!と來也が舌打ちした。

どうやらこっちを向いて何か言おうとした瞬間、十数メートル先で赤だった信号が青に変わり、停止することなく再びアクセルを踏まなければならなかったのが、原因らしい。

「あのー、……っ!」

怒ってるか聞こうとした瞬間、來也が私の手を掴んだ。

……聞くだけ野暮だ。

だって、握られた手が痛いんだもの。
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