~Lion Kiss~
私に背中を向けたままの來也が、硬くて冷たい声を響かせた。

「なんで俺を呼ばなかったんだ」

「だって、来也だって忙しいだろうし、ただでさえいっぱい迷惑かけてるのに、これ以上」

しどろもどろになって答える私をほったらかして、來也はさっさと靴を脱ぐと部屋の中へと消えていった。

おーい。

私はため息をつくと、來也の後を追ってリビングへと向かった。

「ねえ、來也」

「…………」

「來也ってば」

「…………」

來也は私を完全に無視している。
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