~Lion Kiss~
柚希はそう言うと、綺麗に定食を平らげてお茶を飲んだ。

「しかも、身体目当てでもないみたいだし」

來也の言葉を思い出して、私は眉を寄せた。

『お前はここにずっと住むんだ、俺と』

どうして來也はあんな言葉を口にしたんだろう。

まるでわからない。

「分かんない……來也の気持ちが全然分かんないの」

だって、好きって言われたわけじゃない。

「來也みたいに女馴れしてるタイプは、好きじゃなくても居候させてくれたり、ハグしたり、キスだって出来ちゃうのかも知れないし」

気のない相手に気のある素振りくらい、余裕で出来るに決まってる。

だって、私だってそうやって、男を裁いてきたから。
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