~Lion Kiss~
ガシャリと響く刺々しい音が、來也の気持ちを代弁しているようで私は唇を噛んだ。

來也はなにも言わずに、私から遠ざかるとリビングを突っ切り、キッチンの冷蔵庫を開けた。

またしても私のハイボールを手にしている。

けどまさか、さすがにこの状況で『私のハイボール飲むな』とは言えないし、はっきりいってどうでもよかった。

グイッと缶をあおると、男らしい首元がゴクリと動き、私はそれを見つめた。

「何が家政婦だ」

來也が苛立たしげに言葉を投げつけてきた。

「だ、だって、」

思いの外声がかすれてしまって、私は口をつぐんだ。

「家政婦なら、もっとしっかりした人間を雇う」
< 210 / 444 >

この作品をシェア

pagetop