~Lion Kiss~
軽い音を響かせて握りつぶした缶をゴミ箱へ投げ込み、來也は両腕を大きく開いてアイランドキッチンに身を預けると、のめり込むようにこちらを見た。

その姿は正に獲物を狙うライオンの様で、私は思わず後ろへ下がった。

……家政婦という、見え透いた言い訳に腹を立てているんだろうけど、それ以上の巧い言い訳なんか思い浮かばなかったのが、実際のところだ。

「ごめん、お母さんにしたら、不自然だなって思って……継母ならイケてたかもだけど、そんなの思い浮かばなかったし、妹って手もあったけど、突っ込まれるとすぐバレちゃうし、えっと、それで」

言葉の途中で來也の舌打ちが聞こえて、私は黙り込んだ。

「お前、バカなんじゃねーの?」

「……っ……!」

迫った眉の下の焦げ茶色の瞳は、苛立ちを隠そうともせず、鋭く光っている。
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