~Lion Kiss~
episode6

スペア

「お久し振りね」

ドッペルゲンガーが、私を見て口を開いた。

「あなたが」

ドッペルゲンガー、と言いかけて私は口をつぐんだ。

この人だったんだ、私のドッペルゲンガーは。

あの日、來也のマンションに鍵を返しに来た、この女性が。

あの時、私はまるで気付いていなかった。

彼女が私に似ているって事を。

けど、今は分かる。

だって、顔立ちこそ似ていないが、他はどこからどこまでソックリだ。

ヘアスタイルはブラウンのロング。

バッグも同じものだし、ピアスだって同じだ。
< 247 / 444 >

この作品をシェア

pagetop