~Lion Kiss~
女性の涼やかな声がして、私はフッと顔をあげた。

あと少しで來也のマンションだというところで、私の足が止まる。

それから息が止まりそうになって、私は眼を見開いた。

冷水をかけられたような感覚に全身が震える。

嘘でしょ、なんで。

「……大丈夫?」

目の前の女性がクスリと笑った。

大丈夫なんかじゃなかった。

だって、出逢ってしまったんだもの、わたしのドッペルゲンガーに。
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