~Lion Kiss~
服装はメーカーこそ違うが、かなり似たデザインだ。

おまけに背格好も似ていて、後ろ姿だと、翔吾くんや柚希が間違えるのも納得出来た。

「……どういう事」

張り付いたような喉を必死で押し開くようにして言ったが、私の声は完全に掠れていた。

再びドッペルゲンガーが声を出して笑った。

「前に言ったでしょ、完成度高いって」

あまりにも衝撃が大きくて、彼女の言った意味がまるで理解出来ない。

「その驚きようを見ているとあなた、來也の事をまだ理解してないのね」

何の返事も出来ずに、私はただ彼女の顔を見つめた。

やけに暑い。

湿気の残る梅雨明けの夜は風ひとつなくて、私はこの緊張感と湿度の高さに目眩を感じた。
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