~Lion Kiss~
あーよかった。

「じゃあ、帰る」

私は來也をチラッと見てから消ゴムをカバンにしまった。

それから彼の脇をすり抜けて玄関へと進もうとした時、素早く腕を捕まれた。

思わず足が止まる。

「なあ」

「なに?」

「4.5って、なに?」

私は硬直した。

……こいつ。

私は僅かに眼を細めて、出来るだけ軽蔑したような表情を作って來也を見上げた。

「あんたさあ、男のクセに女子の話を盗み聞きして恥ずかしくないの?」
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