~Lion Kiss~
「花音さん、私、もうダメ」

『やだ、マヒルちょっと待って、桂治ね、今日は早いの。迎えに行かすから!場所言いなさい!』

桂治とは、私の勤めるセネカ貿易株式会社の代表取締役社長である飯島桂治さんで、私の留学時代からの親友、花音さんの旦那様だ。

「うん、ごめんね、花音さん」

『話は家で聞くから!しばらく待ってなさい』

******

一時間後、社長が迎えに来てくれた。

私は荷物を全てスーツケースに詰めて、大通りまで歩いた。

「マヒル!」

社長は自ら運転してきた高級車を路肩に停車して、私に駆け寄ってきた。

心配そうに私を覗き込む社長に、またしても涙が込み上げそうになる。
< 264 / 444 >

この作品をシェア

pagetop