~Lion Kiss~
私は少し笑った。

「二杯目。お帰り」

「ん」

店内は徐々に活気づき、賑やかになり始めていた。

來也は私の手に大きな自分の手を置くと、キュッと握った。

「取引先のアクセサリーショップがさ、商品間違えるわ、ゲリラ豪雨で交通機関ストップするわで、帰れなくなったんだ。急遽ビジネスホテルをさがしたら、一部屋だけ空きがあって、助かったよ」

「そう……」

ひとつだけの、空き部屋。

それって……あの人と一緒に泊まったって事だよね。

仕方ないよね、私はスペアで、彼女は……。

私は來也を静かに見上げた。
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