~Lion Kiss~
胸に鉛を流し込まれたように苦しい。

「……マヒル?」

「ん?」

來也が眉を寄せて私を見た。

「……なにかあったのか?」

心臓を掴み上げられたような苦痛に、私は思わず頬を歪めた。

「……來也、私、」

「出るぞ。帰ろう」

私は震える声で、立ち上がろうとした來也を止めた。

「……帰れない。もう、來也とは帰れないの」

たちまち來也の顔が強張り、彼はこちらを見据えて唇を引き結んだ。

「あの人と、一晩中一緒だったんだよね?たったひとつだけ空いてたホテルの部屋で」
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