~Lion Kiss~
「聞いてくれ、マヒル」

「ホントにバカだよ、私は。
……來也にしたら、どの女も簡単でチョロいのにね。ちょっと金使ってやりゃ、簡単なんだよね。大抵女ってのは見た目に惹かれるんだもんね」

初めて会った夜、バーでそう言って笑っていた來也。

「來也にとって私なんて、スペアでしかなかったんだよね」

來也が眉を寄せて私を見た。

「違う、俺にとってお前は」

私は來也の言葉を遮って、彼を睨み据えた。

「違わないよ!じゃあなんで、同じものが二つも必要なの?!過去に何があったの?!
どうしてご実家があんな大企業だって隠してたの?!」

「それは」

私はフフフと笑った。
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