~Lion Kiss~
俺とどーにかなったら、多大な恩恵にありつけ、ライバル企業を出し抜けるとでも考えてんだろ。

案の定、緑川冴子もつまらない女だった。

儚げに微笑み、よほど話し方を意識しているのか、一言一言噛み締めるように話し、マニュアルに従っているのか、俺が話すとしっかりと相槌を打ちながら目を見つめる。

………人形かよ、お前らは。

見た目はどの女も綺麗だが、長く覚えてはいられない。

個性がないからだ。

記憶にあるのは漂う香水の香りと、有名ブランドの服、バッグ、貴金属。

「お付き合いする気がないなら、あなたがご本人に直接お断りしなさい!」

思わず舌打ちした俺に、母親は大きくため息をついた。
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