~Lion Kiss~
俺ははやる胸を抑えながら、二人の元へと急いだ。

泣きはらしたマヒルが俺を見て顔を背けた。

唇は切れて血が滲み、白い両頬には指で掴まれたようなアザが出来ていた。

胸元は引っ張られたのか不自然なくらい布が伸び、明らかに誰かに手荒な真似をされたのが見てとれた。

……有川治人だ。

ヤツの家は六本木の超高級マンションだ。

マヒルはどう見ても部屋着で、荷物といえば片手で束ねるように持っているスマホと財布、足元はミュールだった。

あいつ……ふざけたマネしやがって!

マヒルの頬に触れると、怒りが炎のように胸の中に渦巻いた。

思わず抱き締めたくなる衝動を必死で抑え込むと、俺は総二郎に告げた。
< 300 / 444 >

この作品をシェア

pagetop