~Lion Kiss~
だがマヒルは情緒不安定だった。

当たり前だ、昨日の今日なんだから。

どことなく嬉しそうな俺を見て、マヒルは不信感を抱いたらしい。

徐々に表情が曇り、とうとう再び泣き出してしまった。

『來也、私、辛い。治人さんが好きなの』

胸がジリジリと焦げるような気がした。

大学時代の俺は、有川治人に嫉妬する事など一生ないと思っていた。 

背も高くなく、美形でもなく、取り分け秀でている事もない。

なのに今、俺は猛烈に有川治人に嫉妬している。

……なんでアイツなんだ。

なんでだよっ!

けれど俺には彼女を抱き締める事しか出来ない。
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