~Lion Kiss~
今の俺に出来るのは、目の前の仕事をやり遂げ、マヒルの傍へ急ぐ事だ。

俺は仕事を終えると急いで家を目指した。

玄関と廊下のライトは感知式だが、リビングは違う。

廊下の向こうに灯りはない。

土間にはアイツの靴があるのに。

……この僅かな距離が長く感じるほど心臓が煩くて痛い。

アイツ、電気もつけずになにやってるんだ。

自分の家の中をこんなに急いだことはない。

「マヒル?」

俺は部屋のライトに手を伸ばしながら声をかけた。

マヒルは笑っていた。

バーボンのボトルを抱えて。
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