~Lion Kiss~
愛を求められても困る、俺は与えてやれないんだから。

だから俺は、楽な女……恵美里がちょうどよかったんだ。

仕事上の関係もあり、恵美里とは頻繁に会った。

打ち合わせのついでに寝る場合もあり、恵美里だけには鍵を渡していたんだ。

それが裏目に出た。

関係は解消していたが、部屋の鍵の事をすっかり忘れていたんだ。

俺が家につく前に恵美里が到着し、マヒルは彼女と鉢合わせた。

「家政婦さんなら帰ったわよ」

飛び付いてきた恵美里に、俺は冷たく言い放った。

「鍵はポストに入れといてって言っただろ?」

「いーじゃん、來也の顔見たかったし」

嘘だ。

コーディネートを新しくするために三週間に一度は必ず職場で顔を合わせている。
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