~Lion Kiss~
柚希の疑問に再び胸が痛んだ。

「私がスペアだからだよ、たぶん。けどスペアの分際で別れを告げちゃったものだから……また別のスペアを見つけるんだと思うよ」

「電話とかメールは?ないの?」

「……ない」

正直これには落ち込んだけど、來也ほどのイケメンが、去っていった女に連絡なんかしないわよね。

柚希が物憂げな表情で、ガヤガヤと騒がしい店内を見回しながら言った。

「ねえ……落ち着いたらちゃんと話をしなよ、ライオンと」

「当分落ち着けないし、話なんて怖くて出来ない。
來也本人から『お前はただのスペアだった』なんて言われたら死ぬ」

「……そこだよ、マヒル。
私も話を聞いて頭に血がのぼっちゃったけどさ、よく考えるとドッペルゲンガー側だけの話を鵜呑みにするのは、危険だと思わない?」
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