~Lion Kiss~
「どうして……?」

「お乗りいただけますか?」

次第に早鐘のように心臓が脈打ち、私は息を吸っても吸っても苦しくて、思わず胸に手を当てた。

この時の私は、青年を見て頷くしかなかった。

だって彼が見せてきたのは、緑川冴子さんの前で私と來也がキスしている、あの画像だったんだもの。

*****

超高級なソファのようなシートに包まれて、私はゴクリと喉を鳴らした。

運転中の青年は一言も言葉を発しないまま、やがて車は大田区に入った。

更に車は西へと進む。

「あの……」

「なに?」
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