~Lion Kiss~
「はい。お世話になってました。私はその……恋人と別れることになって……同情してくれた來也さんが、部屋を貸してくださったんです」

理沙子さんが、様子を窺うように問いかけてきた。

「子離れ出来てない恥ずかしい母親とお笑いになってください。けれど私、あの子が心配で……。
あなたは……來也の事をどう思っていらっしゃるの?」

心臓を掴み上げられたように、私は身体が引き吊った。

この問に……答えねばならないのかという思い。

日の長い夏の夕方は、思いの外ジリジリと太陽が肌に刺さる。

まるで私の心の痛みとリンクしているようだ。

私は観念して口を開いた。

「私は次第に來也さんに惹かれていき、彼を好きになりました。
ですがそれは私の一方的な思いです。彼の心は私にはありませんでした。
だからもう、終わりにするべきだと思ったんです。
現に私は彼に何一つとしてきかされていませんでした。彼の心の傷の事も、相澤ホールディングスの御子息だという事も」
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