~Lion Kiss~
社長には、恩がある。

花音さんの親友というだけで社長直々に私を採用してくれたのだ。

いつもいつも本当の兄のように良くして貰っているのに、断るなんてバチが当たる。

それに……海外勤務もいいかもしれない。

來也の会社とうちの会社は距離的に近いし、いつどこで出くわすとも限らない。

きっと海外勤務は、失恋の痛手を軽くしてくれるだろう。

「私で良ければ是非お役に立ちたいと思います」

何だか少しだけ清々しい気分だった。

これで來也を忘れられる。

きっと、日本にいない方が早く立ち直れる。

私は社長に少し笑った。
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