~Lion Kiss~
epilogue
******

マヒルが優しく微笑んだ。

俺の手首の腕時計を見て。

それから、空っぽになったこの部屋を見て。

「この部屋、どうしたい?」

「來也の書斎にしたら?」

俺は首を振った。

「子供部屋にする」

マヒルは俺を甘く睨んだ。

「気が早いよ」

「ちっさすぎ」

マヒルの薬指の、小さなダイヤモンドの付いたリングを見つめて俺が呟くと、彼女は首を振った。

「これがいいんだもん」

その時、開け放っていた窓から勢いよく風が舞い込んだ。

「來也、寒くなってきちゃった。窓閉めて」

「ランニングから帰ったばっかで暑い」

するとマヒルが俺に抱きついてきた。

「じゃあ、温めて」

「ん」

俺はマヒルを胸の中に抱いた。

これからどんなに冷たい風が吹き付けようとも、お前の身体を冷やしたりしないから。

俺が温めてやるから。

これからもずっと、永遠に。






       ~Lion kiss~

        end
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