~Lion Kiss~
「まだ付き合って三ヶ月でしょ?マヒルだけじゃなく、治人さんだってマヒルに遠慮してる部分があるんじゃないかな。
これから徐々に、『素の自分』を彼に見せていけば?」

言い終えて、柚希はニヤッと笑った。

「いやー、ほんと、こんなマヒルにお目にかかれるなんてねぇ。治人さんのお陰ですっかり草食女子ですなあ」

けど、これまでの恋愛がことごとく長続きしなかった私としては、不安で仕方ない。

「ありのままの自分でいなくちゃ、長続きしないよ?」

そこも問題なんだよ、柚希ちゃん!

だって今まで、ありのままを見せすぎてダメになっちゃった気がするんだよ。

それも数ヶ月で。

自分を出せないのも嫌。

けど、ありのままの自分を見せて、嫌われるのも怖い。

ああ、もう!どうすりゃいーの。

とにかく私は治人さんが好き。

別れるなんて考えられない。

私は最後のミニクロワッサンを平らげるとペリエを傾けて、小さく溜め息をついた。
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