~Lion Kiss~
私の拳が來也の胸に命中すると、彼は大袈裟に痛がった後、ニヤリと笑った。

「そんなに怒るなってマヒルちゃん。10分5万円だぜ、キスのひとつくらい想定内だろ」

來也の発言に、通りすがりのサラリーマン風の男性がギョッとして私を見た。

「ちょっとっ!大きな声でそういうこと言わないでよっ」

私は腹立たしさのあまり來也に背を向けて歩き出した。

「おい、待てって!報酬払うし一杯おごるからさ」

一杯だけかよ、セコいライオンだな。

「二杯」

私がギロリと睨むと、來也が弾けるように笑った。

「わかった!俺、腹へったわ!総二郎が通夜みたいな顔するからさ、まともに食ってねーんだわ」
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