~Lion Kiss~
途端に視線がぶつかる。

優しくて、綺麗な瞳。

そんな來也の瞳を見ていると、自然と言葉が口から出ていた。

「治人さんが……酔って帰ってきて……」

瞬間的に寝室の出来事を思い出して、声が上ずる。

「彼が、無理矢理」

「もう大丈夫だから」

來也が私の言葉を遮った。

けれど私はかぶりを振った。

「分かんないの。いつも穏やかで優しい治人さんが、どうしてあんな事」

痛いより、彼の豹変に恐怖を覚えたし、悲しかった。

「彼は私を憎んでる感じだった」

「暫くここに泊めてやるから。彼氏が冷静になるまで」
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