君とのキスの意味
雪乃さんはニッコリ笑った。それは、とても優しい笑顔だった。

加賀さんは頭を垂れて、大きく息を吐いたようだ。顔を上げると、顔を歪めて笑った。

「雪乃の言う通りだ・・・ごめん!雪乃・・・本当にごめん!・・・」

加賀さんは、しばらく頭を下げていた。

雪乃さんは「大丈夫だから」と繰り返した。


─雪乃さんを助手席に乗せて、待ち合わせをした本屋の駐車場に到着する。

あの後、加賀さんは先にカフェを出た。

「本当に、恥ずかしい姿を見せて・・・」

と、俺にも頭を下げた。

「理子と幸せになって」と言った雪乃さんに「理子の事は好きだけど、どうするか少し考えさせてほしい」と答えた。

「雪乃の事、よろしくお願いします」

カフェを出る前に、再び加賀さんに頭を下げられてしまった。

俺は、何と答えていいのかわからず、とりあえず頭を下げた。

「理子と加賀君が落ち着いたら、塚本さんが“ 彼氏のフリ ”をしてくれた事、きちんと話しますから」

雪乃さんがそう言ってくれたので、少しホッとした。

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