君とのキスの意味
雪乃さんが、俺の車から降りる。俺も降りて、雪乃さんのそばまで行く。

「塚本さん、本当にありがとうございました!」

頭を下げた後、雪乃さんはニッコリと笑った。うん。きれいな笑顔だ!

俺は、ただ笑って頷いた。

自分の車に向かう雪乃さんを見送っていると、雪乃さんが足を止め、振り向いた。

「・・・塚本さん・・・」

「ん?」

「いえっ!・・・お気をつけて!」

「雪乃さんも!」

雪乃さんは薄く笑うと、自分の車に乗った。

雪乃さんの車が駐車場から出たのを見届けて、俺も車を発進させた。

「他人(ひと)の事なら、よくわかるのに・・・」

俺は水野君の事を、どう思ってる?

水野君を、どうしたい?

本当は、もうわかっている。

ただ、それを自分で認めたくないだけ─

それを認めたら、俺は、これまで通り水野君に接する事ができるのだろうか?

「26才の、いい大人が!・・・」

こういう事に関して、俺は中学生並みかもしれない・・・

俺はまた、大きく溜め息を吐いた。
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