密室の恋人
中に入ると、窓は既に開け放してあった。
高い天井に取り付けられたシーリングファンも回転し、涼やかだ。
誰か居るのかと思ったが、そうではないようだった。
ヘリで操縦士を迎えに来た使用人たちが、開けて行ったのだと言う。
「というわけで、今日の朝食はあるが、昼からの食事はないぞ」
「やはり、サバイバルですか?」
用意してあった食事をプールに向かい張り出したテラスで食べながら言うと、
「阿呆か」
と言われる。
「冷蔵庫になんでもある。
ただ、作らなければ食べられないってだけの話だ」
「わ、私にこんな料理を期待されても困るんですがっ」
色とりどりの野菜や果物が美しく盛られ、紅茶でも珈琲でも、フレッシュなジュースでもなんでもあり、花も驚くようなデザインで活けられているテーブルを見ながら凛子は言った。
「お前にそんなこと期待してない」
と言う蒼汰に、
「私は、ほんっとうに普通のものしか作れませんよ」
と言っみたが、彼は、
「別にそれでいい」
と言う。
本当か?
私のよく作る、肉のない焼肉でも、オッケーなのか?
と思ったが、この場所では、その言葉を口に出すのも恥ずかしいので黙っていた。