僕はそれでも恋をする


「純粋……?」


疑問符だらけの私に、フミちゃんはクスッと笑って。


「あんたみたいにさ、真っ直ぐ追いかけていたかった」


私には、フミちゃんの言う真っ直ぐさが分からなかった。


だけど、フミちゃんが辛さを隠しているその笑顔が、なぜか私は耐えられなかった。


なぜって問われても、分からないんだけど。


「フミちゃん、あのね……私。幸せになるから」


嫌味かもしれない。


きっと良い印象はない。


だけど私がフミちゃんに言える言葉は、その一言だと思った。


フミちゃんは応援してくれた。


私の事が嫌いでも、フミちゃんは私をこんな幸せな時間へと導いてくれた。


本当に、優しい人だな。


「……。幸せにならなかったら絶交ね」


「え! そんなの嫌だよ! 私絶対幸せになる! チトセちゃんと一緒に!」


「あんた声でかすぎ……」


「あっはは、なっちゃんはフミちゃんのこと大好きだね〜」


これから、どんな日常になるんだろう。


数年ぶりの、桜も満開の春。



目を瞑って柳瀬君のあの笑顔を思い返した時、ふわりと懐かしい匂いがした。


< 52 / 63 >

この作品をシェア

pagetop