切れた・・絆
四話

•••勤務初日


今日から勤務が始まる。

勉強や研修で、わかっていたが
小児科の患者さんには、
色んな症状がある。

辛くて痛い治療もやらないと
いけない事が多い。

大人でも辛い治療を
小さい体で行うのだ。

今日から、
しばらく先輩医師がついてくれる。
だが······
初日から辛い病気のお子さんに当たり

一人で、休憩していると
「初日から、そんなんじゃ、勤まらない。
辞めた方が、良いんじゃねえか。」
と、言われ

振り向くと、星野先生だ。

「わかっています。
患者さんは、もっと辛いのだから、
私が、こんなんではダメな事は。」
と、立ち去ろうとしたら、

星野先生が、抱き寄せて
「肩の力を抜け。
お前は、大丈夫だ。
きっと、やれる。」
と、頭を撫でながら言ってくれた。

私は、なぜか‥‥

スーッと気持ちが落ち着いて
行くのがわかった。

「先生っ‥‥あの‥
ありがとうございます。
もう、大丈夫です。」

「辻、先に言っておく、
俺は、お前が気に入っている。」
「先生、ありがたい話ですが
私、結婚しています。」

「そうか。ならなぜ、辻のままなんだ?」
「籍は、まだ入れてないから。」

「なぜ、いれてないのか
知らないが、俺には好都合だな。
入籍してないなら、
俺にもまだ、チャンスはあるな。
俺は諦めない。
研修の時から、佳希が気に入ってる。」
と、言って立ち去った。

私は、びっくりして
立ち尽くしてしまった。

でも、星野先生のおかげで
元気になれて、小児科の医局に戻った。

先輩方の先生達は、ホッとした顔をした。
あれっ‥‥心配かけたかな‥‥。
< 19 / 67 >

この作品をシェア

pagetop