白と黒のコーヒータイム
名村をサンプルにまでして求めた国見の恋愛はどこに答えがあるのだろう。

視線の先の名村が、不敵に笑うのが見えた。

「俺とキスしたい?」

まるで催眠術のよう。

命令ではなかった、しかしそれに近い強さで国見の全てに響き渡る。

それは誘惑に近い。

射抜くような挑戦的な目が誘っているようだ。

国見の視線は名村の口元へと動く。

頭が働かずに力が入らない体を浮かせ、まるて吸い寄せられるように国見は自分から近付き。

そして触れる程度の短いキスをした。

音の無い、確かな交わり。

温度を感じるまもなく離れたのは衝動だからだろう。

自分がした行動に気付いたのは体を離してからだ。

術がきれたように我に返った国見は目を見開いて慌てて口元を両手で隠す。

何をしてしまったのだ。

動揺しながらも名村の方を窺うとそこには予想外の景色が待っていた。

名村の顔が国見以上に真っ赤に染まっていたのだ。

「名村…?」

「うわ…やっべ…。」

口元に拳をあてて呟くなり名村は視線を忙しなくさまよわせる。

「まさか…するなんて思わな…っ。」

「やっ!だ、だって名村が!」

「しろとは言ってねえし!」

「そ、そうだけどさ!」

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