白と黒のコーヒータイム
必死で言い合うもふと周りの景色が目に入って固まった。

いい年した大人が二人、向かい合って地面に座り込んで言い合う様はなんとも不思議で恥ずかしい。

ましてやここは美術館の敷地内にある庭の一角だった。

顔を合わせて最初に噴き出したのはどっちだったか。

「とりあえず立つか。」

「うん。」

先に立ち上がった名村が国見に手を差し出す、国見はその手を当然のように取ると引っ張られる形で立ち上がった。

触れるか触れないかの近さで名村の胸を感じる。

これは今までにない距離で、さっきまで戸惑っていた近さだ。

自分からキスをしてしまった今ではどうだろう。

どうなるか予想はついていたけど国見は名村の方を見上げた。

目があった、その次の瞬間に顎を持ち上げられ名村の唇を受け入れる。

すぐには終わらないキスは少し離れてもすぐに戻り、次第に深く激しいものへと変わっていった。

すがるように名村の服を掴めばそれが煽りとなって攻めは増していく。

足腰に力が入らなくなり、ずり落ちる国見を支えるときようやく終わりを迎えた。

「おっと!」

息も絶え絶えな国見は言葉もなくしがみつくしか出来ない。

ここが外であるということを忘れていた。

そして相手が名村であるということも、改めて気付かされたのだ。

「大丈夫か、国見。」

恥ずかしくて顔を上げられない。

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