嫉妬深い狼と同棲生活?!

(………あれ?)





それからメイン料理が来て
私が食べ始めた頃に異変が起き始めた。


まだ濱崎さんがお酒を飲み始めてから10分くらいしか経っていないのに

濱崎さんの顔が少し赤くなり始めていた。

まだ1杯目を飲み終わっていない。

しかもカクテル。ストレートでもなければそこまで強いお酒でもないだろう。





「濱崎さん、大丈夫ですか?」

「え?何が?」




お酒を飲んで少し気分がいいのか
フワフワした返事が返ってきて。

こちらを見てくる目も
少し潤んでるような気がする。





「顔赤くなってきてますけど…。」

「ん、大丈夫大丈夫。
…あ、ねぇこれ少し頂戴。」

「あ、はい。どうぞ食べてください。」





濱崎さんは私にそう言うと
スプーンを持って私の頼んだ料理を一口、口に含んだ。






「…ん、美味いね。」




そう言った濱崎さんの顔が
お酒のせいもあってか
トロン、としていてすごく甘く笑っていた。



---------ドキッ



私はその表情にまた心臓を高鳴らせる。


見た目が厳つい濱崎さんが
こんなに可愛く見えるなんてあんまりない。

いつもクールな感じで
かっこいいという印象が強くて。

だからお酒を飲んだこの濱崎さんが
すごいギャップで、心を掴まれる。




「コウキ、お代わり。」

「お代わり?…お前もうやめとけば?」

「いーから。最後の一杯。」





とコウキさんにお願いする濱崎さん。

コウキさんは濱崎さんの様子を見て止めるものの
聞かない濱崎さんに仕方なくもう一杯を持ってくる。





「ん、これで最後な。」

「分かってるって。どーも。」





濱崎さんはコウキさんからお代わりをもらうと
今度はそれを一気に飲み干す。


私はそれを見て少しギョッとした。





「は、濱崎さん。そんな一気に飲んで大丈夫なんですか…?」

「ん?あー全然大丈夫大丈夫〜。」





とふにゃっと笑う濱崎さん。

本当に大丈夫?と少し心配になるも
本人が言うなら…と私はそれ以上は言わなかった。



そして私も食べ終わると
濱崎さんがコウキさんを呼んで
お会計をする。





「どうしたんだよ圭斗。酒飲むなんて。」

「…別に。気分だ気分。」





と言ってお金を払う濱崎さん。

コウキさんはそんな濱崎さんを納得いかない顔で見ながらお釣りを返す。

そしてお店の出口まで送ってくれた。





「ありがとうございました。
---ユカリちゃん、今日はありがとうね。圭斗のことよろしく。」

「あ、こちらこそご馳走さまでした。美味しかったです。
濱崎さんのことは任せてください。」





と笑顔で挨拶すると
コウキさんも笑顔で返してくれた。

しかし、それを見ていた濱崎さんが
先程まで緩かった雰囲気を、少し黒くする。





「…ユカリ、行くよ。」

「え、あ、待って濱崎さん!」





濱崎さんは先程とは違った
少し不機嫌そうなトーンで私にそう言って先に階段を上がっていく。


----------?


私はその様子にも違和感を感じながら
濱崎さんの後をついていく。



タクシーで帰ろう、と言われ
道路でタクシーを捕まえると
濱崎さんが運転手の人に道を説明した。




(……今日の濱崎さん、やっぱり変だよ。)




特に服を買ってから。

あのお店で着替えた時にはすでに
反応が薄かったし。

あそこに着いてからも不機嫌そうに黙ってたし。

…珍しくお酒も飲むし。

さっきだって何もしてないのに急に機嫌が悪くなって…





(私何かしたかな…。)




と不安にかられる。

そしてそのまま家に到着した。





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