マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
中から、「はい。」の返事が聞こえる。
ドアが開ききる前に、思いっきり頭を下げる。

「すみませんでしたっ!」

「うわっ!や、やめてよ。朝っぱらから。」


平身低頭、それしか出来ない私に梁瀬さんはちょっと焦っている。


「あの、いえ。私、頭に血が上り易いってい
うか、ほんと、本当に、」

続けた(モウシワケアリマセン…)はかすれていた。


恥ずかしい。3分ほど位なら軽く死にたい。


ドアの前にいつまでも立たせておくのも、あれだと思ったのか、梁瀬さんは昨日食べきれなかった分を貰ってきたから、食べようと言ってくれた。


二人ともありがとおお!
空腹と怒りを抱えて眠った私には、堪らなく嬉しい。
部屋には遠慮がちに入ったが、食べ始めるとがつがつしていたと我ながら思う。


私は昨日の夕食を抜いただけで、こんなにお腹が空いたのに、梁瀬さんは丸一日大した食事をしてなかった。
食事どころではなかったとはいえ、やっぱり無理矢理にでも食べさせたのは、間違ってなかったのだ。
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