マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「そうなんです。今度ラジオのクラシック番
組のレギュラー出演とか、オーケストラのイ
ベントのトークショーに呼ばれたりとか、そ
ういう仕事が増えてきたそうで、ウチでマネ
ジメントする事になったんです。」

「兄ちゃんって、奏ちゃんのお父さんの紹介
なんですか?また。」

「おう。悠平君の時と一緒だな。オーケスト
ラ定年になったら、営業に迎えたい位だ。」

コンマスやってた人が営業って…。


「だから梁瀬さんのお守りの仕事だけじゃな
いんですからね、私だって。」

今度はお守りを言い直さなかったぞ…。


「と言う事だ。残念だったなー、悠平君。」

社長がポンと僕の肩を叩いた。

「じゃ改めて、常任指揮者就任と フランス移
住を祝してカンパーイ!」

「いいのかな。まいっか。カンパーイ。」

「……うう。」


こうして失意のまま、僕はフランスに移住する事となってしまったのだ。
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