マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「…ハイ。頭の隅には。」

「そうかい。自分の人生だもんな。足掻くだ
け足掻いて、すがり付いてでも諦めたくない
よねえ。」

……そうです。そうなんです。

「ハイ。」


「灰谷先生お願いしまーす。」

ラジオの収録を始める為に、スタッフが声を掛けてくれた。

「大石の大事な娘さんだ。困った事があった
ら、言うんだよ。」

「…有り難う御座います!」


灰谷先生は、私の頭に手をポンと置き、力を与えてくれた。



これまでの演奏会のマスコミの評価を聞き付けてか、ヨソのオーケストラからも、マエストロはゲストとして呼ばれる事が出てきた。

こういう公演スケジュールは結構先まで決まっているものなので、ピンチヒッター的な役割が多かったけれど、それでも呼んで貰える事は凄いと思う。


常任指揮者の仕事と、それと平行して行われる客演指揮者としての仕事と。

私は私で、フランスと日本の行き来。
マエストロの御守りと、灰谷先生のマネジメントと。
ピアノの練習とオーデイションと。

しかも、マエストロが指揮をする曲をCDで発売することや、日本でリヨンフィルを率いての全国ツアーの案も出てきた。




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