マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
………え。
顔を上げた私と入れ替わる様にして、マエストロの顔が慌てて俯く。
眉をハの字に下げ、口はへの字に曲げ、何かと戦っている姿がそこにあった。
耳が赤くなっていくのが、見てとれる。
何だか歪な状況なのではないか。
海外のオーケストラで、常任指揮者として活躍する人物が、ピアニストを目指すもことごとく
夢破れた人物の出方を伺っている。
加虐心や嗜虐心を煽るには、充分だった。
マエストロには悪いが、私はその姿を見てイライラしている自分に気付く。
この人は。
私が断ったらどうするつもりだったんだろ。
そういうことを全く考えないんだ。
仕事がやりにくくなるとか。
「…奏ちゃん…。」
沈黙に恐怖しか感じてない、という様な掠れた声だった。
理由の解らない涙が込み上げてきた。
私が欲しいものはこれじゃない。
「…返事…。何か言ってよ…。」
でもそれは、マエストロから与えられるのではなく、自分の力で手に入れなければならないものだ。
私はこの人が憎いのか、尊敬しているのか、何なのか解らない。
もうどうでもいい。何が正しくて、何が間違っているのか。
顔を上げた私と入れ替わる様にして、マエストロの顔が慌てて俯く。
眉をハの字に下げ、口はへの字に曲げ、何かと戦っている姿がそこにあった。
耳が赤くなっていくのが、見てとれる。
何だか歪な状況なのではないか。
海外のオーケストラで、常任指揮者として活躍する人物が、ピアニストを目指すもことごとく
夢破れた人物の出方を伺っている。
加虐心や嗜虐心を煽るには、充分だった。
マエストロには悪いが、私はその姿を見てイライラしている自分に気付く。
この人は。
私が断ったらどうするつもりだったんだろ。
そういうことを全く考えないんだ。
仕事がやりにくくなるとか。
「…奏ちゃん…。」
沈黙に恐怖しか感じてない、という様な掠れた声だった。
理由の解らない涙が込み上げてきた。
私が欲しいものはこれじゃない。
「…返事…。何か言ってよ…。」
でもそれは、マエストロから与えられるのではなく、自分の力で手に入れなければならないものだ。
私はこの人が憎いのか、尊敬しているのか、何なのか解らない。
もうどうでもいい。何が正しくて、何が間違っているのか。