マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と


◇◇◇



「ピアニストが急病 ?!」(仏)

今度発売する事になっているCDについての打ち合わせと、マエストロが指揮をする事になっている公演の為に、私がフランスを訪れた時の
事。


オーケストラ事務局のスタッフにどうにも出来ないフランス語力と、スマートフォンの翻訳アプリの力で何とか聞き出せた。

合ってると思う、…多分。

ドイツ語もそうなんだけと、何で名詞に男女の
区別があるんだか。その時点でもうやる気をなくしてしまう。


聞けば音楽監督のツテや、これまでにオーケストラと共演したことのある人をあたってはいるが、なかなか見つからないと言う。
急病で出演出来なくなったピアニストは、オーケストラとコンチェルトの共演予定だった。


「…まぁ、最終的には切り札あるけど。」(仏)

そう言ってシモーヌさんが、私を見てニヤッと笑った。

アトゥ
「Atout?」

…って何?スマホが手放せない。

…翻訳中…

『切り札。武器。』

スマホから顔を上げ、慌ててシモーヌさんを見るが、既にパソコンに向き直っていた。





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