マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
そりゃ音大出てて、クラシック経験があるマネージャーの方が良いだろうけど、梁瀬さんの保護活動の観点からは余り役に立たない。


「音大出身だとやっぱ就職厳しいの?
範囲が狭いっていうか。」


そう話に入ってきたのは、斜め向かいに座っていた経理担当の櫻井さんだった。大人の女性って感じで凄くキレイな人だ。年齢は三十代前半?かな。


「いえ、普通の一般企業にも就職する人はい
ます。後は学校の先生とか幼稚園教員とか」


「音楽教室の先生もそうか。大石さんは?
そういうのは興味なかった?」


中野さんが訊ねてきた。


「あー、まぁ、そうですね。」


言葉が濁る。
あるにはあった。
でも私はどうしてもプロになりたかった。
(今も諦めて無いけど。)


やりたいんだったら、マンション買うなり、我が家を改築してもいいぞ、とまで父がでしゃばってくるのだ。

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