マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
「あ、良かった。ここにいたか。
大石ちょっとお借りしますね。大石。」
そう言って手招きした。

大石、って呼び捨てなのか…。

ちょっとした事に心がぐるぐる掻き乱される。


二人は部屋を後にし、パタンとドアの閉まる乾いた音だけが響いた。
二人の会話の声が遠くなっていく。


はああ。


ダメだ。勉強しよ。


スコアを開く。
そこに書かれている音符、音楽記号の情報を元に掘り起こしていく。
暗号を解くみたいに、アイヴスのメッセージを読み解く。
2次元のものを3次元に変換していく。


この音楽が、何を語ろうとしているのかはだいたい理解できたと思う。
それでも見落とした箇所はないか何度も何度でもさらう。


最初は弦楽器のみで音楽は流れていく。
メロディーも美しい。

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