マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
するといつものように、奏ちゃんはスコアの整理をし始めた。

が。

手が止まり、こちらをちらりと見る。
目は凍っている。

「…ごめんなさい…。」


謝ったのは僕。
奏ちゃんの言わんと欲する所はよーく分かる。
整理し終わった箇所が、元通りになっている。
つまり奏ちゃんの労力が無駄になってしまった
のだ。


ううう。


「ホントごめん。使ったら元に戻そうとは思
ってるんだけど、なかなか…。」

「…そうですか。」

心底呆れたような返事だった。


はああ。


コンコンとドアをノックする音がした。

「どうぞ。」


返事をすると、「失礼します」と入って来たのは中野さんだった。
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