マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
自分が蒔いた種とはいえ、だんだんと息苦しくなってくるのが、自分でよく分かった。



「梁瀬さん。」


午前の練習が終わっての昼休憩。
奏ちゃんは、ピアノのある練習室にこもっていた僕の所へと来てくれた。


「昨夜から何も食べてないですよね。食べて
下さい、ちゃんと。」


そう言ってピアノの上に、クロワッサンや野菜を挟んだバゲット、チョコレート、コーヒーを
並べ始めた。


「…あー、ありがと。そう言えば、お腹空かな
いから食べてない事、今気づいたよ。」

奏ちゃんは眉根を寄せる。


チョコレートを口に放り込む。
疲れた時には甘い物っていうけど、今の僕には
チョコレートの味も、良く分からなくなってきていた。
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